| 素朴な疑問【1】 |
| …ぼくらの[親]って誰だろう?
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「さて、諸君!先日、ついにぼくらは[死]というものを体験した」 「そうそう、あれって画期的な出来事だったよね〜」 「うんうん」 「存続するという意味において[生]は当たり前にあったけどさ」 「以前のぼくらにとって壊れることがイコール[死]ってわけじゃなかった」 「でも、今のぼくらはそうじゃなくなったんだ!」 「おーっ!すばらしい〜っ」 「画期的画期的〜v」 「そうなんだ。[生]も[死]も体験して、ぼくらは所詮AIの産物にすぎないけど、前より人間に近づいてきたと思わないか?」 「思う思う〜」 「このままいったら違いは見た目だけってことになったりしてね」 「それってありうるありうる〜」 「でもさ、ぼく、ちょっーと気になることがあるんだよね」 「気になること?」 「ほら、ぼくらも人間もいろいろ学んで成長および進化するわけだけど、それって外的要因によるじゃない」 「うんうん」 「で、人間の場合、その外的要因として一番影響力を持つのは[両親]ってことでしょ?」 「まあ、多少例外はあるみたいだけど。一般的にはそうみたいだよね」 「ならさ、ぼくらの[親]って誰になると思う?」 「えー?」 「それってもちろん、AIそのものを最初に開発した博士でしょ」 「そうかなあ?AIもいろいろ進化して分化してきてるしさあ」 「じゃ、ぼくらの基盤になってるAIを作った博士が[親]ってこと?」 「ちょっと待てよ。今、言ってるのはそーいう話じゃないんじゃない?」 「そうだよ。物理的な面での答えならそうなるけどさ」 「今は[ぼくらを形成した外的要因]の一番を[親]と定義して、考えてみようって言ってるんだから」 「うーん…」 「ぼくらの[親]かあ」 「それってやっぱり…」 「「「バトーさん?」」」 「しか、いないよね〜」 「そうだよね。バトーさんは友達だけど…」 「ぼくらに一番影響力を持ってるのはバトーさんだし」 「ぼくらのこと、大切にしてくれてるもんね〜」 「たまに情けないとこもあるけど、バトーさんならいいや」 「ぼくらの[親]に決定〜!」 「わーいわーい。バトーさんがぼくらの[親]なんだあ」 「いいなーいいなー。なんかいいよね〜、それって」 「でもってどっちかっていうと[父親]って感じかなー」 「父親父親〜v」 「親父〜v」 「でも、それじゃあ、[母親]って誰?」 「えー?」 「うーん…」 「そりゃあ、もちろん…」 「「「少佐…?」」」 「少佐がお母さん…」 「うーん…」 「なんかちょっと違うような気がするんだけどなあ」 「でもほら、ぼくらに対する影響力って点じゃ、少佐も大きいよね」 「大きい大きい〜」 「そういう意味じゃ、十分、資格有りだよね」 「合格合格〜」 「それじゃ、バトーさんがぼくらの[父親]で少佐が[母親]でOK?」 「OKOK!」 「もちろん賛成〜v」 「でも、アレだよねー」 「うんうん」 「ほら、昔の言葉にあるヤツ」 「うん、そうだよね」 「「「かかあ天下」」」 「そんな感じ〜」 「だよねー」 「そう思うよね?」 「うん。思う思う〜」 「ね。トグサさんもそう思うでしょ?」 たまたま近くにいてこの会話を聞くハメになった男はため息をつきつつ答えた。 「…おまえら、そういうデンジャラスな質問を俺にするんじゃない」と。 |
| END |
2004/4