| 人魚姫U-【〆】 |
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| 「ヘリオンさん、テンガアールはここに来ましたか!?」 そんな言葉を持って、二度目の訪問をしたバレリアは、変わり果てたその場の様子に目を見張りました。 「ヘリオンさん!?どうしたんです」 棚にあった瓶や壷がひっくり返ったり、破れた本のページが水中を飛び交っています。 つい先程まで整理整頓されていた室内の様子とは天と地の差のようでした。 「どうしたもこうしたも…」 あのバカ娘が暴れて行ったんだよっ。 「バカ娘…というのは、まさか」 「そのまさかさ。テンガアールだよ」 不機嫌そうに鼻を鳴らして、ヘリオンは答えました。 「テンガアールが…どうして?」 信じられないと、バレリアは問います。 「どうして、なんて知らぬが。人が止めるのも聞かずに薬を持っていきおったわ」 「薬…って、何の薬です?」 嫌な予感、がしました。 それを肯定するようにヘリオンが重いため息をつきます。 「”人間になる薬”だよ」 鋭く息を呑むバレリアの目の前に青い小瓶が差し出されました。 「取り合いになって他のはみんなダメになっちまってね。これしか残ってないが、どうするね?バレリア」 妹を追って行くか、それとも帰りを待つか。 しかし、それは深く考えるまでもない問いでした。たとえ過保護すぎると言われても、放っておける場合ではありません。 黙って小瓶を受け取り、そして、彼女はふと眉根を寄せました。 『あの人間にだけは会いたくないものだ』 いや、絶対に会うものか! 願いではなく、心にそう誓いつつ。 指に嵌ったままの銀のリングに、彼女は小さくため息をついたのでした。 |
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| END |