「寒いと思ったら…」
あ、と何かに気づいたように顔を上げ、呟く彼女の視線を追って、わたしは目を細めた。
「雪か…」
早くも闇の迫る窓の外に舞い落ちる白い影。
それを見ていると自然と眉間にシワが寄った。
今日は夜勤のため、もう少ししたら家を出なければならなかった。
あたたかくて居心地の良い場所を去るというだけでも不本意きわまりないというのに…。
「はー…」
こんな雪の中に出て行かなければならないとは。
ストーブの前に置かれた椅子にはコートと手袋とマフラー。
少しでも寒さを和らげられるようにという気遣いは、本当に彼女らしい。
「ため息をついても、出勤時間は変わりませんよ」
苦笑しながら言う彼女を引き寄せ、ふわふわのセーターに包まれた体を抱きしめた。
「わかっているさ。リザ」
わかっていても、ため息が口をついて出てしまうのだ。
「私も一緒に出ましょうか?ロイ」
「それは心強い提案だが、却下だな」
残念ながら、勤務時間が違いすぎる。無理をさせる気はさらさらなかった。
しかも、こんなに寒い日に連れ出すなんて。
「代わりに、少しでもわたしが寒くならないように協力してくれないか」
「協力?」
小首を傾げる彼女の額に軽く口づける。
「あと30分、このままで…」
そう言うと彼女は笑って、
「あと30分だけですよ」
とわたしの唇にそっと口づけた。
END
今日、雪が降ったのでなんとなく!甘々〜(>▽<) ..2005/01/22
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