日差しがあたたかくて、良い陽気だった。
そんなことがいいわけになるハズもなかったけれど…
ふと目を開くと、すぐ目の前に見慣れた顔を見つけて、正直、驚いた。
一瞬、息が止まったといっても過言ではない。
「あの…そこで何をしているんですか?大佐」
場所は東方司令部の一室。
机の上には書類を広げたまま、私は…どれくらいの時間だろうか、ついうとうとしてしまったらしい。
そして、机の向かい側には椅子に座った上官の姿があった。
きちんと片づけるべき書類を手にしているのは良い。
…が、彼が本来、いるべき場所はここから少し離れたところに設えられた専用デスクなわけで。
「ああ…君が眠っているのが見えたから」
だからなんだというのか。
「…勤務中に申し訳ありません」
とりあえず、謝罪はしておく。
「で?大佐は何を」
居眠りをした自分を起こしもしないこの人はまた何を考えているのか。
時々ではあるが、本当に理解に苦しむコトをしてくれる。
「君を起こそうと思ったんだが…」
「…」
「あんまり気持ちよさそうに眠っていたからな」
にこやかに、それこそ楽しそうに笑って彼は言う。
「別に、遠慮なく起こしてくださってかまいません」
「ああ、そうなんだが…」
「…?」
「いつ気づくかと思ってな」
「…っ!」
「それに目が覚めた時、わたしがここにいたら君がどんな顔をするかと思って」
悪戯っぽく笑いながら、そんなコトをへろりと言う。
そのふてぶてしさに、きっと私は渋面になっていたに違いない。
しかし、私が何か小言を言う前に先手は打たれた。
「驚く君を見られたのだから、待っていて正解だったな」
「ーっ!」
『不覚』という言葉が私の脳内を何度も駆けめぐる。
きっと私の顔は赤くなっている…なんてことは、思い過ごしだと強く念じながら楽しげな顔をしている大佐を睨み返した。
「今日は本当に良い日だな。中尉」
END
とりとめもないお話になってしまいましたが、珍しく大佐優勢☆な春の日。-2005/4 WEB拍手に掲載していたSSです。
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