好き -by.リザ

「好きだ」「愛している」が彼の口ぐせ。
ふとした拍子にそんな言葉がこぼれる。
それはプライベートな時間に限らず、仕事場でもそう。
とりあえず人目は避けて、二人きりの時を見計らって、囁く。

「好きだよ。中尉」

さりげない一瞬に。
甘い声と視線を混ぜて、そう告げる。
でも、私はそんなことくらいで動揺なんてしてあげない。

そう、少なくとも…そうと気づかせるようなマネは絶対しない。

「ハイハイ、わかりましたから、さっさと手を動かしてくださいね」

これ以上の戯れ言を封じるために。
いつものようにつれなく返すと、彼はいつもと同じくがっかりしたように肩を落として呟く。

「本気なのに…」

それは嫌というくらい知っている。だからよけいにタチが悪いのだ。

「ハイハイ。わたしも好きですよ」

さっくり切り返してそれで終わりにしようと思っていたのに、そこで妙な沈黙を感じてふと彼を見返せば…
ひどく驚いた表情で彼はわたしを見ていた。

「その、初めてじゃないかね…?」
「え…?」

何がだろう、と考えて、ハタと思い当たる。
そういえば、職場で「好き」の言葉を冗談でも彼に告げたことはなかったような。

『迂闊だったわ』

ついいつもの調子の延長で口をすべらせてしまった。
でもだからといって、イイ歳をした男がそれくらいで顔を赤くしないでほしい。
これは絶対言わないけれど。

『あんまりかわいすぎると襲いますよ』

こんな時、私は自分の理性も有限なのだと再認識する。


[end]


ロイアイ〜。中尉、カッコイイです(笑
最後をどうしようかと思いましたが、照れ照れよりもこちらを選んでみました。
                           ..2005/05/21

掲示板より転載 (2005/08)