この瞬間に君と居るシアワセ。 「何をしてらっしゃるのですか」 もう良い加減、この台詞を云うのも飽きてきた。 日も暮れゆくこの時間、ホークアイは廊下よりも冷え切った室内で、此れまた窓際に立ち外を眺める上司に呆れた表情を浮かべた。 「やぁ中尉」 だが当の本人 ロイは全くもって気にせずに、事もあろうか手招きしている。このクソ寒い日に、何を好きこのんで窓全開で外を眺めなければいけないのか。 「お断りします」 「まぁそう云わずに。…そろそろみたいなんだよ」 「………?」 ちょっと困った笑顔で尚も誘うロイに、ホークアイはひとつ溜息をついて、持って来た書類を机に置くと、窓辺まで近寄った。 「一体、何だと仰るのですか?」 「あぁ、もう少し傍に」 「ですから、大佐…っ」 文句を云い掛けるホークアイの肩を引き寄せ、そしてロイは満足そうにまた空を見上げた。 「大佐! 勤務中なんですよ!」 「判っているよ。文句も仕事も後でしっかり引き受けるから、今は少し時間をくれないか」 頑として空を見上げるロイに、ホークアイはまた溜息をついた。 ――――――――― 「うひゃー、さみー」 「今日はまた一段と冷えるって、ラジオで云ってたみたいだしね」 トコロ変わって各地を回る兄弟が空を見上げていた。徐々に空を覆う雲の厚みは増し、そして気温も下がってきていた。 「兄さん、寒いんなら早く宿に戻ろうよ。風邪引いちゃうでしょ」 アルフォンスが空を見上げる兄に声を掛けた。 「ん? んー」 着ているコートのボタンを締め、其れでも空を見上げながら、エドは尚空を見上げている。 「兄さん、どうしたの?」 「ワリ。先に戻ってろ。ちょっと野暮用」 「もう、仕方ないなぁ。何だか知らないけどホントに今日は冷え込むみたいだから気をつけなよ」 そしてアルと別れたエドは回りを見渡して、ひとつの電話ボックスに駆け込んだ。ポケットから少々のコインを取り出し、ボタンを押す。間もなくして相手方と通じた音がして、懐かしい声が耳に滑り込み、エドは少し表情を緩めた。 「はい。義肢装具のロックベルで御座居ます」 「… ウィンリィ?」 「エド? どうしたの。また機械鎧壊したの?」 「ちげーよ!! …ったく。あのさ、今、俺オルタナに居るんだけどさ」 「何よ。結構近いじゃない。帰ってくるの? 其の為の連絡? いっつも押し掛けてばっかりなのに珍しい事するのね。槍でも降るんじゃないの」 畳み掛ける様な云いにエドが肩を落とした。 「何とでも云いやがれ。……あー 何てんだ、此処って近いだろ」 「ん? そうね。近いわね。其れがどうかしたの?」 其の質問に、エドが少し頬を染めた。電話で相手はこちらを伺う事など出来はしないのに、つい俯いてしまう。 「エド?」 「其処から空、見れるか?」 唐突に話が逸れた。聞き返すと、もう一度繰返された。『空が見えるか。見えないなら見えるトコまで移動しろ』。 「勝手なんだからー。あ、此処から見える。雲ってきたわね」 「…… 見れるかと、 ………思って…」 「え、何? よく聞こえな…」 『あ』 おそらく、今、4人の声が重なった。 空からは、ゆっくりと白い結晶が舞い降りてきていた。 「…… 初雪は君と見たかった」 嬉しそうに微笑むロイに、一瞬呆れたホークアイだったが、舞い落ちる雪と笑うロイを見て、ただ小さく微笑んで頷いた。 「お前と、見れるかなって思ってさ…」 だんだん語尾が小さくなっていく事が、エドの照れを表現していた。電話越しの彼がどんな表情をしているかなんて、彼女には想像する事は容易かった。 「うん。こっちでも、降ってきた。初雪だね」 だからこそ何も云わずにウィンリィは嬉しそうに言葉を返した。 |
| 狭霧刃様作「extra happy」 クリスマス企画でフリー配布されていたのを頂いてまいりました☆ ほのぼのロイアイ&エドウィンですよv 接触率低いはずなのに、甘いっ!二組の甘い雰囲気にあてられてしまいます。 嬉しそうに笑う大佐が可愛いんです、照れくさそうに電話するエドが可愛いんですよ〜! 中尉もウィンリィもすごく幸せそうでとても素敵なお話です〜。 そして、一作の中に微妙な時間差、とても巧みな構成に惚れ惚れですよ。 こんな素敵なお話をいただけてとても嬉しいです(^o^). 狭霧様、ありがとうございました。 狭霧様のサイトはこちらから→【虚偽密通】 |