贈り物 V by.ユイ】
 毎年、クリスマスが近づくと思う。

『今年は何をプレゼントしよう?』

 パパとママ。
 それと、友だちに…って言っても、全員には無理だから、こっちはプレゼント交換用にひとつでいいんだけど。
 学校の帰りとか、ちょっと出かけた時とかにお店をのぞいてみる。
 時間のある時にネットショップを見て回ることもあったわ。
 それでも毎年用意するプレゼントの数はそう変わらない。
 いくつものお店を回って悩んで、コレって決めたのをゲットする。
 絵を描いたり、肩たたき券を作ったりなんてしたのは、もうずっと前のこと。

 でも…



「つかまえてきたわよ、ウィルス」
 肩で息をきらしながら、あたしは抱えていた透明のケースを突き出した。
 研究室でいつものようにプログラムの修復作業を淡々と続けていた緑の頭が少しだけ揺れ、視線がちらりと一瞬振り返る。
 サイバースコープ越しにもその視線の鋭さを感じたのか、ケースの中にいた子猫のような生き物の毛が逆立った。
「2匹ですか。残り13匹ですね」
 ごく事務的に事実だけを告げる言葉。
 別にほめてほしいとか思わないけど、これって、なんだか腹が立つんだけど。
「わかってるわよ。あと13匹くらい、すぐに捕まえてくるわよっ!」
 負けるもんかっとばかりに宣言して、
「ウィルスの方こそ、約束忘れないでよ」
 と釘を刺す。でも返ってきたのは「ハイハイ」と気のない返事。
「…っ」
 ホントに、もうちょっと愛嬌のひとつでもあったらいいのに。
 あたしは生き物の入ったケースを机に置き、代わりに空のケースを手にとって、研究室を飛び出した。

今回の任務は『アニマルネットからほかのネットへと逃げ出した動物たちを回収すること』だった。
 とはいえ、それはコレクターズへと与えられたものではなく、ごく個人的に、ウィルスからあたしへと与えられたノルマだった。
 あたしの欲しいものを手に入れるには、ウィルスの仕事を手伝うしか方法がなかったのだから仕方がない。
『50匹回収まであと少しよっ』
 コレクターズのみんなに頼んだら、きっともっと早くに片づくことなんだと思う。
 でも、それじゃなんの意味もないんだもの。
 それにウィルスは無愛想でちょっと意地悪だけど、ちゃんと約束だけは守ってくれるって知っている。
 だから、あとはあたしががんばるだけ。

『みんな、よろこんでくれるかしら』

 よろこんでくれるといい、な。
 よし!と握りこぶしを固めて、駆け出す。
 いつもよりもわくわくして、ドキドキするのは…いつもよりいっぱいがんばっているから、かな?


END


ほのぼのユイちゃん♪

                                   .2005/12/25

掲示板より転載 (2006/06)