【てるてるぼうず】

「あ〜もうっ!毎日毎日雨でイヤになっちゃう」
 そんな文句を言った後に、くしゅんと小さなくしゃみ。
「あら、ユイちゃん。風邪?」
「ユイどのが風邪とは珍しいでありまするね〜」
 同じ部屋に待機していた金髪の少女とまんまるロボットのアイアールが少し心配そうに振り向いた。
「あ、平気平気。学校帰る途中でいきなり雨が降ってきて、ちょっとだけ濡れたの」
「まあ。熱はもう測りました?」
「んー、測るほどのことじゃないって。レスキュー」
「油断しちゃだめですよ。ユイちゃん」
「そうでありまするよ〜。季節の変わり目は体調を崩しやすいと言うでありまするし」
「は〜い。後でちゃんと測るわ」
 二人がかりで詰め寄られ、ユイはしぶしぶそう答えた。
「今日は珍しく晴れてたから油断したわ。家まであと5分ってところでいきなり通り雨にあっちゃって。もー、早くスッキリお天気になってくれるといいんだけど」
「そうは言っても仕方ないでありまするね。雨が降らなければ、水不足にもなるでありましょう?」
「わかってるけど…」
 ふわんふわんと飛んでいるアイアールを見ながら、声が途切れる。
「な、なんでありまするか?」
「なんか、アイアールって丸くて、てるてるぼうずになりやすそうだなあって」
 ぼんやりと思いつくままに、という感じで紡がれた言葉にアイアールはびょんと勢いよく飛びずさった。
「ユ、ユ、ユイどの!?”なりやすそう”というのはも、問題発言に思うのでありまするが」
 しっかり身構えているその様子に、アイアールが何を考えているのか気づいたユイは思わず笑みをこぼした。
「なによ、アイアール。あたしがホントにそんなことするわけないじゃない」
「ホントでありまするか〜?」
「あ、そのジト目はなによ。ホントにするわよっ」
「それはイヤでありまする〜」
 両手をいっぱいに開いて、頭を振るアイアールの様子にユイはレスキューと目を見合わせ、くすっと笑い合う。
「それじゃあ、アイアールさんのかわりに小さなてるてるぼうずでも作りません?」
「いいわね。誰が一番かわいいてるてるぼうずを作れるか競争よ」
「それならみどもも参加するでありまする」
 アイアールもこれまでの逃げ腰から一転して、元気よく身を乗り出しすと、率先して材料集めに取りかかったのだった。


 数日後。


 またまた雨に降られてうっかり風邪をひいてしまったユイちゃんのために、コムネットの作戦会議室では大きなてるてるぼうずがふわんふわんと宙を飛んでいたとか。


[END]



日常の一コマ。
あんまり雨が続くから…で、梅雨のときに書いていたお話です。
でも、設定時期はいつでも可(^^v


最後のオチをどこまで書くか悩みましたが、あとはいつものごとくご想像におまかせです。
自らの男気で立候補したのか、はたまた生け贄となったのか。
どっちもありですね〜。
でも生け贄だったら誰が迫ったのかな〜(笑

                                  ..2006/09/22