「好きよ」
『好き』って言葉は短いくせに、いろんな意味があった。
最初は知らなかった。
知った後も、違いがわからなかった。
家族の『好き』。
友達の『好き』。
そして、
「恋」や「愛」からやってくる特別な『好き』。
「好きよ、シンクロ」
告げると彼は少し戸惑うような様子を見せ、でも、それを笑顔で吹き飛ばし、
「ああ、俺も好きだぜ。ユイのことが」
そんな風に応える。
でも、あたしは知っている。
彼のそれは友達の、仲間の『好き』。
彼はそれ以上の意味はないのだと言葉以外の態度でもそう示し続けてきた。
あたしに対しては過保護すぎると思うくらいの扱いも、すべて仲間だからなんだって。
その『好き』はあたしにとっては苦いお薬みたい。
彼のことを特別に好きなんだと知ってから、何年経ったかしら?
一度はあきらめたわ。
でも、いつまで経ってもあたしの気持ちは変わらなかった。
誰にも心うつりすることができなかった。
なら、仕方がないじゃない?
「あなたのことが誰より一番好きなの。言っておくけど、友達とか家族とか、そういうのはナシよ」
「………」
逃げ道をふさぐように、先に言い添えておく。
彼は絶句して、でも、頭の中ではどう切り抜けようかと必死に考えているようだった。
「ごめんね、シンクロ。あなたがあたしの気持ちを受け入れられないって知ってるわ。でも、だって、仕方がないじゃない?無理なんだってわかってても、変わらなかったんだもの。ぜんぜん変えられなかったんだもの!」
自然と口調に感情が入り込んできて、あたしはそこで息を少し整えた。
おとなになったと思ったのに、まだまだコドモよね…。
「だが、ユイ。俺はコムネットの住人でおまえは…」
「そんなことわかってるわ。でも、そんな理由はあたしにとっては意味がないの」
「ユイ、重要なことなんだぞ!」
本当に真面目で思慮深い人。
でも、『違う世界』だというのは本当にあたしも何度も何度もそれこそ気分が悪くなるくらい考えたことだ。
あたしは口元をゆるめた。怒ってるような形相の彼を前にして微笑めるのは歳をとったおかげかしら?
「いーい?シンクロ」
「?」
「これはね、別にあなたに同意してほしいとか、受け入れてほしいとか…それはもちろんその方がいいんだけど…そんなのじゃないの」
「じゃあ、なんだって…」
「これはね、宣戦布告!よ」
びしっと指を突きつけて言い切ると、彼は本当に驚いたように目を見開いてあたしを見た。
「あなたはあたしの気持ちを知っていてくれるだけでいいの。あとはおちるまであたしがアタックするから♪」
彼は本当に言葉が出ないようだった。
だから、彼がうるさく何かを言い出す前にあたしは逃げることにする。
ああでも…ここまで言ったなら、やっぱりキスくらいは必然かしら♪
[End]
おとなになったユイちゃん♪
個人的に、シンクロ&ユイちゃんはこういうふうに落ち着いてくれるといいな〜と期待していますv ..2005/05/21
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