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声が甘く響く。
「好きよ」と。
『好き』って言葉は短いくせに、いろんな意味がある。
そんなコト、オレは長い間ずっと知らなかった。
家族の『好き』。
友達の『好き』。
そして、
「恋」や「愛」からやってくる特別な『好き』。
知らなければよかった、と。
気づかなければよかった、と何度思ったことだろう。
「好きよ、シンクロ」
まっすぐな眼差しで見つめてくる相手にたじろぐ自分の弱さを知ったのはいつだっただろう?
それでも、
「ああ、俺も好きだぜ。ユイのことが」
仲間として、友達としての響きで言葉を返すコトをオレは自分に義務づけた。
特別の『好き』は相手のためにならないと理解できるからこその選択だった。
こんな理性や倫理観などいっそなければ、幸せだっただろうか。
数えきれないほど繰り返された自問の行きつく先はしかし、いつも同じでしかなかった。
今のままでいい。
何も変わらなくて、いい。
これ以上を望もうなんて思わない。
…そう思い、長い年月貫いてきたというのに。
それをいとも簡単に突き崩してしまえるのは、たぶんきっとユイだからこそ。
『宣戦布告よ!』と指をつきつけ、不敵な笑顔で彼女はオレを見た。
「あなたはあたしの気持ちを知っていてくれるだけでいいの。
あとはおちるまであたしがアタックするから♪」
初めて彼女と出会ってから、幾年もの月日が過ぎた。
ユイが少女から大人の女性へと姿を少しずつ変えてゆくのを見てきた。
しかし、どこで何が間違ったというのだろう。
何がどうなって、彼女はこんな結論を出すのか、わからなかった。
大人になればこそ、この結論が間違っているとわかるんじゃないのか!?
いつになく…いや、いつも以上に混乱するオレに、ユイは悪びれもせず、素早く近づいて…
「…っ!」
たぶん、間違いなく、
今までで一番の至近距離で彼女は少し照れくさそうに笑った。
「本気だから、覚悟しといてよね♪」
赤い顔をして、でも、それだけは挑戦的に言い置いて、身を翻す。
それを追いかける勇気は残念ながらオレにはなかった。
照れくさそうな笑顔も。
不敵な表情も。
その言葉の一つ一つ。
いや、彼女の存在、行為のすべてが…いとしくて。
このまま追いかけたら、怒るより、きっと抱きしめてしまいそうで。
「まいった…」
オレは口元を押さえてただ立ちつくす。
この勝負はいくらなんでも分が悪いというか…勝負にならないというか…
「どうしたらいいんだ…」
途方に暮れた自分の声が情けなく耳に届いた。
[End]
ユイちゃん宣戦布告編の、シンクロサイドです。
シンクロ真面目すぎて面白くない反応ですわっ!と我ながら思います(^^;
でも、とりあえず、シンクロはユイちゃんのかわいさにめろめろで身もだえておいてください(笑
..2005/07/19
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