いつもいつもそれは当たり前で。
だから、気づいたのはほんのつい最近のこと…。
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「ほんっとにいつも迷惑かけてごめんね、シンクロ」 「なあに、気にするなって、ユイ」 バグルスとのこととか、コムネットの事件に関わってるうちにけっこう自分でも強くなってきたと思っていたけど。 やっぱり失敗することもあって、コレクターズの仲間に助けてもらうこともたくさんあった。 助言をもらったり、力を合わせて協力したり、そして… 「守ってくれてありがと。シンクロ」 あたしが怪我なんかしないように身を挺してかばってくれたり。 あたしのかわりに怪我した腕を隠すようにシンクロは手で押さえていたけど、かすり傷なんかじゃないのは明らかだった。 「はやく手当しなくちゃ」 「おいおい、そう急がなくても大丈夫だ。オレは頑丈なのが取り柄だしな」 彼は明るく笑っていつもそんなことを言う。 でも、いくら頑丈だって、シンクロに怪我させるなんて、あたしはイヤ。 「ほんとにごめんね。あたしのせいでシンクロってば、怪我ばっかりしてるじゃない」 「まあ、おまえを守って戦うのもオレの使命だからな。…それに、大事な仲間なんだぜ。助け合うのが当たり前だろ」 「………うん」 助け合うっていうよりも、なんだか助けてもらってばかりみたいだけど。 それってたぶんきっとあたしの力が足りないからなんだわ。 「あたし、がんばって、もっと強くなるからっ」 守られてばかりなんて、イヤだもの。 改めてそんなコトを思って、にぎりこぶしをぐっと握るあたしを見て、シンクロはなぜか面白そうに小さく笑った。 「ああ、そうだな。そうなるのを楽しみにしてるさ」 「もう!そんなふうに笑うなんて、信じてないでしょ」 ちょっとムッとして見返すと、シンクロは「そんなことないさ」と笑って、おだやかな声で続けた。 「だからな、たとえ、おまえがオレがいなくても大丈夫なくらい強くなったとしてもだ」 「?」 「おまえを守るってのがオレの存在意義の一つだってことには変わりないんだぜ、ユイ」 「あたしが守らなくてもいいって言っても?」 シンクロはいつもあたしのそばにいてくれた。
だから…そう、シンクロがそばにいてくれるとあたしは安心してる、コトを時々、感じていた。 「オレにとっては、おまえのそばにいて、おまえを守るのは当たり前のことだしな」 大きな手をあたしの頭の上に置いて、シンクロはニッと笑った。
いつもいつも思ってた。 シンクロは…頼りになる『お兄ちゃん』みたいだって。
でも、 「ま、一生守ってやるさ」 このひとことに、あたしは急に自分の顔が赤くなるのを感じた。 「そんなの…一生とかって、簡単に言わないでよ!シンクロ」 「別にそう思ってるんだからいいじゃないか」 ごく当たり前のことのように。 本当になんでもないことのように彼は言い流す。 「それに、前からの約束だしな」 最初に彼のこの『約束』を聞いたのがいつだったかなんて、あたしも覚えていない。 たぶんその場の雰囲気では、とりたてて気にすることじゃなかったんだと思う。 で、その『約束』はいつの間にか、ごく当たり前の、当然のことになっていて… 『まるでプロポーズみたいじゃない…』 なんて、つい最近、ふっと思って、気づいて… ついでに、それを聞くたびドキドキしてしまうあたしはどうしたらいいの!? 「顔が赤いぞ。熱でもあるのか?ユイ」 その原因は今は深く追求したくないのっ。 あたしは真っ赤になった自分の顔を見られないようにシンクロの後ろに回り、 「あたしはだいじょうぶっ!だから、早く手当しに行くわよ、シンクロ」 広い背中を力いっぱい押した。
いつもいつも当たり前で。 なのに、いまさらのように、気づいてしまった。
たぶんきっと、これは………前途多難な『恋』。
END
ユイちゃんとシンクロの間には、こういうワンステップがどこかであるんだろうな〜って思ってました。ので、書いてみました〜。 きっと周りにいる人の方が困るような会話を、何事もないかのようにしてそうな二人なのですね〜♪それ考えると面白いですv .2005/10/20
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