*** x'mas window2 ***-----------------------------------*


「どうした?ユイ」
 隣を歩いていた少女がふいに足を止めたことに気づき、彼も立ち止まった。振り向いた先、少女はジュエリー店のショウウィンドウをじっと見つめている。
 そこには明るい照明を受けてきらきらと輝くアクセサリーの類や見本用にラッピングされた小箱が飾られていた。箱を飾るリボンには「Merry X'mas」の文字。
 そんなウィンドウの真ん中に堂々と据えられたクリスタルドールを指さし、少女は弾んだ声で言う。
「これこれっ♪見てよ、シンクロ」
「ん?」
 銀に紫水晶をあしらった上品なデザインのイヤリングとネックレスで飾られたクリスタルの胸像。
 それをきらきら輝く瞳で覗き込みながら、
「ほら、これってフリーズに似てると思わない?」
 楽しそうな笑顔で言う少女に彼はちょっと苦笑した。
「そうか?あいつは感情が激しいし、こんな儚げなイメージじゃないと思うがな」
「えー、そんなことないわよ。氷とか雪とか、こういう透き通った感じって彼女のイメージじゃない♪それに美人だし!」
 他人事なのに、まるで自分のことのように胸を張って言いきる。
 その様子に小さく吹き出しながら、彼は肩をすくめておどけてみせた。
「わかったわかった。それで?まさかこいつが欲しいとか言うんじゃないだろうな。ユイ」
「あら、そんなこと言うわけないでしょ。飾るとこだってないのに。それより
さ、聞いてよ。この間、ここでね♪」
「ん?」
「なんと!ジャギーがずうっとこのショウウィンドウを見てたのよ♪それって絶対、このクリスタルドール見てたんだと思うのよね♪その後、お店の中に入ってったんだけど、あれってきっとフリーズへのプレゼント買ったんだと思うのっ」
 それ以外、考えられないと力説する少女の横で彼はふーっと盛大なため息をついた。心なしか肩も落ちている。
「おまえ、それをずっと見てたのか?」
 それを『悪趣味だぞ』と言われたかに受け取って、
「だ、だって、気になったんだから、いーじゃないっ!あたしはっ、あの二人ってお似合いだと思うし、うまくいってくれるとうれしいんだもの!」
 確かに感じる後ろめたさに顔を真っ赤にしながら、少女はキッパリそう断言してみせた。
「ああ。それは別に構わないんだが…」
 素直に頷く。そして、怪訝そうな顔をする少女の肩にぽんと手を置き、彼はもう一度ため息をついた。
「あのな、ユイ」
「な、なに?」
「今日のオレはとことん心が狭いらしい」
「えっ?どういうこと?」
「他のヤツの話でそんなにうれしそうな顔をされるとだな…………なんだか先を越された気がして…」
 妬ける、とこっそり少女の耳元で囁き、彼は苦笑した。
 そして、頬を赤く染めた少女の手を引いて、小さな箱を載せる。
 金色の文字が踊る赤いリボンが驚きに見開かれた瞳の中で揺れる。
「メリークリスマス、ユイ」

*End**
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