* twelve window2 +from gensui *

「まさかそれであいつの下僕になったってんじゃねえだろーな?」


 そんな馬鹿なコトがあるかよ、とビクトールが自分自身の発言さえ笑い飛ばしてしまう前に。
「そのまさか♪しかないに決まってるじゃないですか〜」
 金髪の美丈夫はにっこり笑顔でへろっと答えていた。
 その様子にビクトールはまるで腰が砕けたように前のめりにかがみ込み、低く唸る。
「飢え死にしそーなとこ助けてもらった恩ってのはわからんでもないが…」
「ええ、坊ちゃんはわたしの大恩人なんです♪」
 弾む口調は実にうれしそうだ。しかし、そこで納得がいかないとばかりにビクトールは拳を突き付けた。
「問題はそれだっ!その”恩人”ってヤツ!!」
「…?」
「あいつが恩人って柄かよ。外面はいいし、女子供にゃ親切だが、野郎にかける情けなんてこれっぽちも持っちゃいねえぜ?」
 そうだろーが、という視線にグレミオも否定はしない。おっとりと苦笑して応じる。
「あー、まあ、確かにそうなんですけどね」
「だからっ!それでなんでおまえを助けたりするかね。それともおまえらが出会った昔とやらにはもっとかわいげのある性格だったってか?」
「うーん、そうですね〜」
 グレミオは腕を組み、ちょっと考えるように頭を傾げた。
 そして、上手い言葉を思いついたようにパッと明るい表情になるとハッキリした声で言った。
「見た目も性格もとっても可愛かったですよ♪今と同じに」
「だああああっ!なんでそうなるんだよ!?おまえ、今までの話、ちゃんと聞いてたか!?」
 脱力しまくりのビクトールに構わず、グレミオは「だってですね」と言葉を続ける。
「だって、気に入らない輩は問答無用で半殺し!なんて自分に正直でとっても可愛いと思いません?」
「…同意を求めるな」
「それにですね♪」
 と、グレミオは無敵の笑顔でビクトールの目を覗き込んだ。
「いじめっ子からわたしを助けてくれた坊ちゃんはすごく凛々しくて、カッコよかったんですから♪」

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