
いくら隠していても、いつもそばにいるから気づく。
挙動不審。
仕事のシフト上、同じ日に休日が取れるとは限らない。
だから、彼が休日に何をしているかなんて把握しきれるものではないし、
またすべてを把握したいなんてコトは思わない。
互いのプライバシーは尊重しあいたいから。
でも、時々覚える。
不安な感じ。
それは浮気の心配なんてものではない。
そんなことはほとんど考えたこともなかった。
ただ。
彼の楽しそうな笑顔とか。
何か企んでいそうに輝く瞳とか。
そういうのを見ているとドキドキしてくるのだ。
何を考えているのか聞いても、上手くはぐらかす。
こういう時、彼が考えているのはロクでもないことが多い。
私に言えば、反対されるか邪魔されるとわかっているから、黙っている。
黙ったまま
悪戯や
罠をしかけてくる。
そういうところが彼の魅力でもあるのだが、
自分ばかり翻弄されるというのはあまり気分が良くないのは確か。
今度も勝手に挙式の無料体験なんてものに申し込んだうえ、
正直に言ったら絶対来ない私をハメるために
部下まで利用する悪辣さ!
そのうえ。
「付き合ってくれないなら、泣く」
泣くってなんですか!?
大の大人が子供のようなセリフを吐くな、と腹が立つ。
でも。
本当に子供のようなところも持っている人だから。
泣くと言ったら、本当に泣きそうでイヤ。
どんな状況になるのか想像すると怖すぎた。
そうして仕方なく頷く私に彼は満面の笑みを見せた。
本当に心の底から嬉しそうに。
そんな彼はきっとこの後、
広まるであろう噂とか、
周囲の目とか、
そんなつまらないコト今は考えないことにしているに違いなかった。
そして
いつもいつも気にするのは自分だから
それが少し腹立たしい。
でも今回ばかりは笑ってすませてもいいかもしれない。
ちょうどいいところに
ちょうど良い人が揃っているのだから。
「どうせなら、この人も」
目を剥く少尉の腕を引き、
これから広まるであろう噂の輪に一役買ってもらうことにする。
これなら噂話を分散させるのに丁度いいはず。
『これなら文句は言わないわ』
声に出さなくても、それが伝わったのか。
愕然とした顔で絶句する。
でも、いいでしょう?
これなら、あなたの横に花嫁姿で立っても大丈夫と思えるのだから。
不安とは違う胸の鼓動を感じながら、
今日はあなたの隣に。
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