自分を不思議そうに見つめる瞳。
答えるべき言葉を探すかのような沈黙は、彼女の苛立ちをあおった。
聞かなくても知っている答え。
それを待つ時間はなんて長く感じるのだろう。
「ごめんなさい。今のは忘れてちょうだい」
「アンティ!?」
ガタンと席を立ったアンティに驚いたようにコントロルも立ち上がる。
「いきなりどうしたんだ?」
「…なんでもないわ」
伸ばされた腕をするりとかわし、店を出る。
失敗した、という思いが彼女の胸に激しい後悔を呼んでいた。
『あなたの目に私ってそんなに弱く見えているのかしら?』
なんて愚かなコトを聞いてしまったのだろう。
そう聞くことこそ、自分の弱さをさらけ出したも同じではないか。
不安と。
苛立ちとを。
カタチにした言葉。
それを聞いたコントロルはどう思っただろう?
『君は強いよ』
そう答えるハズだった彼は何をどう考えて、そんな言葉を選ぶのだろう。
ただの気休め?
それとも弱さを見せた私へのプレッシャーなのかしら?
アンティにはわからなかった。
コントロルのことも。
そして、なにより自分自身のことが。
胸にあふれる怒りは自分のふがいなさに、だけではなくて。
涙がこぼれそうなほどの悲しみは自分の情けなさに、だけではなくて。
結局、平静を保ちきれず、感情に引きずられて混乱する自分自身に彼女は嫌悪感を抱いた。
こんなことなら、いっそのこと…。
『ココロなんてなければ…』
よかった。
ただのプログラムソフトであったなら、こんな想いを抱くコトもなかっただろう。
それがコレクターとして禁忌に近い言葉だと。
彼女は理解しながらも、そう思わずにはいられなかった。
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